風の舞い--モノクロームの水彩画

裸婦デッサンや単純化を目指したイメージスケッチを楽しんでいます。

怪しげな気配を動物が感じる話は本当だろうか

今回は絵というよりも話がメインです。夏が行ってしまわない内に、ちょっとミステリアスな話をしてみたいと思いました。実を言うと私はスピ系でも自己啓発系は苦手なのですが、ミステリーやホラーは嫌いではありません。自身、多少の経験をしています。

 

犬にも霊感があるだろうか

 

お盆はとっくに過ぎましたが、毎年この時期にはオカルト系の番組が作られました。今は何故か少なくなった気配ですが、昔はあちこちであったと記憶しています。

そんな話の中で、犬や猫と言った動物が人間よりも鋭い感覚で得体の知れないものの気配を察知するとかの話があります。話題としては有り触れています。しかしそう言うことが本当にあるでしょうか。

結論から言うと、これはあるだろうと思っています。というより私自身が経験しています。遠い昔、我が家は犬を飼っていました。当時住んでいたのは大阪の外れで、まだ未開発な場所が多く、周辺に林や竹藪があちこちに残っていました。私はまだ高校生で、ろくに勉強もせず趣味のジャンクオーディオにばかり熱中していました。

父と兄が犬好きで、その犬も何代目かでした。利口な犬で良くなついて、誰が来ても危なくない、いきなり吠えたりしない、人が前を通っても怪しげな振る舞いをしなければ吠えずにじっと注目しているような犬でした。気はしっかりしていて、物事に怖気るタイプでもありませんでした。

朝は時間がないのでほんの少し歩く程度ですが、その代わり夕方に多少時間を取ってやるのです。それでも散歩が足りない時など、帰ろうとする私の前に回って押し戻そうとする、そんな犬でした。

毎日のことだから大体のコースはいつの間にか決まってしまう。それじゃ面白くない--と、ある時フト思った私は、普段入り込んだことのない林の中を歩いてみようと思いました。もう陽は暮れていたのですが月明かりがあって割と明るいのでした。

ブラブラと田んぼの畔のようなところを歩いて前方に見える林を目指しました。既に寂しい場所になっていて周辺に人の気配はありません。畔がずっと続いていて、足元は良くないが多少の用心をすれば難なく歩けました。犬は私の前を元気よくスタコラ歩きます。

途中、畔は右に曲がっているのでした。真っすぐも行けそうでしたが、むしろそっちが脇に見えたので右を行くことにしました。その先は樹木が生い茂っています。畔は途中から獣道のようになり、そこを突っ切っているようでした。

するとその辺りから、犬は立ち止まるようになりました。何かを気にし始めたのです。犬は普通飼い主の前に出て元気よく引っ張るものですが、急に元気ががなくなりました。

あまり気にもせずちょっと引っ張ってやると着いてくる。着いては来るのだけど、また止まる。周辺をチラチラ見たりたまに上を見たりもする。この犬は尻尾を立てる性格で、元気の良いときはいつも尻尾を巻かずに立てているのです。その尾っぽが下がり気味。

犬のそんな様子を見たことがないので、どうしたのかと思ったのですが、私には何の気配も感じなかったので、むしろその道がどこへ続いているのか、そちらに好奇心がありました。これは幼い頃からの私に習性です。道一本あったらそれがどこへ続いているのか確かめてみたくなる。

ですが、犬はもう決して私の前に出ない。着いては来るのですが、私が引っ張るのでしょうがなくという感じでした。道は途中からやや登りになって、樹木の中に分け入りました。木の種類まではわからないけれど竹藪ではなかったと思います。

そのまま行くとポッカリ開けた場所に出ました。そこは丸い印象でした。丸く開けててもしかしたら畑だったかも知れません。その場所の中心に痩せた木が一本立っていたのです。

 

 

あまり上手く描けませんでしたがざっとこんな感じ。暗いので余計に不気味にみえたのでしょう。どうしてそこだけポッカリ開けているのかもわからないけれど真ん中に木が突っ立っているのも不思議でした。つまりそこはその木を中心に開けているのでした。畑にしては何かが植わっているでもなく作業小屋らしいものも見えません。

しばらく突っ立って木を眺めましたが、ちょっとだけ木に近寄ってみようと思いました。しかし犬がいうことを聞きません。どうもその場所に入りたくないようでした。ちょっと前足を出しかけたまま動かないのです。

犬の表情、怯えたとまでは言えないかも知れないけれど、それにしても挙動不審。間違いなくこの場所を気味悪がっている。しかし心霊談義などで良く聞くような、何かが見えているという感じでもない。そういうのが見えていたらそれをずっと見つめるはずです。ちょっと頭を下げ気味にしてあっちを見たりこっちを見たりしています。頭を撫でてやってもあまり反応しません。

これは変だと思うと私もちょっと気味が悪くなりました。そこが何なのかもうちょっと確かめてみたい誘惑にも駆られたのですが引き返した方が良いように思いました。

その気配を感じた犬が、今度はそそくさと私を引っ張るのでした。明らかに早くここを去りたいようでした。もしかしたらやばい所なのかと思うと急に私も怖くなりました。その後は私も犬も駆け足。普通の場所に戻ってきても、犬ももう散歩を続ける意思はないようで私たちはスタコラ家を目指しました。

今その辺りは大きな団地が立っています。大体の場所は見当が着くのですが、正確な場所はもうわかりません。

後でその話を兄に言うと

「ああ、ちょっとその辺で何かあったと聞いたことがあるな」

と言っていました。

何かとは何でしょう。しかしながら兄には話に合わせて適当なことを言う癖があったのであまりあてになりません。とはいえ、犬も暗がりや初めての場所を怖がったりということがあるのでしょうか。もしかしたら世に言う心霊スポットだったかも知れません。少年を脱しかけた頃の、私にしても不思議な体験でした。こういうことがあるので、心霊系の話を直ちに馬鹿にする気にはなれないのです。確かに作り話系が多いようには思うのですがね。

取り留めのない話、本日もありがとうございました。