強い光を受けている部分だけを大胆に抜いて、あれこれはもう言わない----を目指した描き方です。樹林をバックにしたゴツゴツした岩の、ハイライトの部分をやや大袈裟に、かっこよく言えば大胆に抜いて、後は細々としたものは描かない。大方を暗示に任せることを試しています。
これもつまりはネガティブデッサンです。
細部や質感を描き入れていけば説明的には満足する形に近づきます。しかし絵としての面白さは消えていく。いつの頃からか、私にはそう思えるようになりました。大胆さ、生きの良さ、描き手の作業が見えてくるような迫真感が、徐々に消えていくように思えるのです。
商業美術であれば、クライアントの意向は無視できません。しかし個人的な絵画を目指すなら話は別です。何よりも己の感覚を優先して描画を試すべきだと思います。それ故にこそ絵画は面白いと思うのです。もちろん、鑑賞する側にとっても同様です。
単純な光抜きで何事かを暗示できるか----以前からやっていることは同じです。
本日もありがとうございました。