ちょっと、古い記憶を描いてみたいと思います。といっても随分なぼんやり絵画ですけども、子供の頃に、ロバが引っ張ってくるパン屋さんがありました。古い人ならあの歌を知らない人は居ないでしょう。
ロバは途中から居なくなって普通の軽トラかバンみたいな感じになりましたが、確か一度か二度、実際にロバが引っ張っているパン屋さんで買ったことがあります。それはうぐいす色した蒸しパンで、ふわっとして柔らかくてものすごく美味しかったです。
十円だったか、十五円だったか…。子供の頃は甘いだけで美味しいというのもあるのですが、それを別にしても、随分美味しいと思いました。
しかしこのパン屋さんは、いつの頃からか全く見かけなくなりました。いったい、パンがどこで作られていたのか、今から思えばちょっと不思議な気がします。
というのも、後から知ったのですが、どうやらこれは全国にあったと言うのです。売られているのは概ね蒸しパンで、味を共通化したフランチャイズだったのでしょうか。
だとすると、どこかにパンの製造工場がなければなりません。それとも、売り主が手製で作っていたのでしょうか。
私は大阪の外れに住んでいましたが、子供の頃はその周辺が世界ですので、そこにだけあるものだと思っていました。きっとそう遠くないどこかにパン屋さんがあって、そこからロバで出発するのだと。そしてロバを見かけなくなって、ああ、ロバさんは死んじゃったのかな、などと思ったりしたものです。
で、ちょっとネットで調べてみました。すると、ビタミンパンなる会社が親元で、フランチャイズだったようですね。でも、私の町に売りに来ていたのはどこなのでしょう。ロバですから、そんなに遠くはないと思いますが。
ロバのパン屋さんは今も少数残っているようです。関西の拠点は京都のようですが、関東にはないようです。
かく言う私は、時々池袋に出た折に、駅の向かいのタカセで買うのが僅かな楽しみです。この頃はコロナのせいで都内へ行かなくなりましたけど。
そうそう、上の絵は勝手に記憶だけで描いたので、実際とはかなり違っているようです。ドア外れちゃってますし。ロバの後は、私の記憶ではミゼットみたいな三輪だったのですが、全然違っているみたいですね。
おまけに墨で陰影を主体にして描いているので、絵が少々怪しげになりました。子供の頃の記憶は、私には陰に包まれたミステリーな感じが、どうしてもあるのですよね。
あしからず。
では、本日もありがとうございました。