侘び寂び----とでも言えばよいのでしょうか。日本人は、何故かここに無性に惹かれる民族のようです。
これは風景クロッキーに近いものですが、ただの雑木が生える寂れた雑野です。雑野なる言葉があるかどうか知りませんが、それ以外の表現が思いつきません。
古い昔、その更に昔に建てられた、関ヶ原かどこかだったかの、関所の建物がすっかり朽ち果て、そこを訪れて、今はただ、破れた戸板が風に吹かれてパタパタと音を立てるのみ----と詠んだ句があります。私は無学なのでそれが誰の句か知りませんが、有名な句だそうです。
どうやら日本人は、朽ち果てた物、寂れた光景、粗末な物等に惹かれ、その寂寥感に酔い、味を見つける民族のようです。茶器なども、どこかに捨ててあるような雑器に面白味を見出す面白い民族でもあるようです。
大体雑器の類は見栄えを気にするほどのこともなくゴテゴテとしない。それが良いのかも知れません。黒のみで描くことを初めて、そんなことをちょっと思います。